2014年11月11日火曜日

930番の本棚

あなたは大学病院の受付で待っている。

あなたの番号があの電光掲示板に映し出されるまで。あなたのポケットに受付番号の書かれたしわがれた紙が入っている。その番号をあなたは知らない。番号を知らないまま、掲示板を見ている。赤色と青色の番号とがあり、たまに点滅する番号が出てくる。その点滅は危篤を表しているのではないかと不安になって胸が苦しくなる。

930という番号が表示された。ふいにあなたは立ち上がる。あなたは呼ばれている。間違いなく、930という番号はあなたの番号だ。あなたは掲示板を背にして、受付とは反対のほうへ歩き出した。

930という番号が点滅している。